腰が据わると心も変わる
わたしたちはよく、腹が据わる、肝が据わる、という言い方をします。
それは「腰が据わる」ことでもあります。
現代日本で都市生活をしていると、わたしたちはなかなか、この「腹や肝や腰をしっかり据えること」がむずかしい状態。
椅子に坐りっぱなして、一日中パソコンでの作業、長時間のスマホなど、使うのは目と頭ばかりです。
この時、私たちの身体の気(エネルギー)は上昇に偏っています。頭にばかり血が上っている感じ。
循環がうまくいかず、滞りがちになり、全体のバランスが崩れていきます。
神経ばかりが緊張して、いわゆる「地に足のつかない」状態になっているんですね。
ではどうすれば、しっかりと腰を据えることができるようになるでしょうか。
陰と陽のバランスを取る
陰(いん)ヨガというヨガをご存知でしょうか?
アクティブに動くタイプのヨガとは違い、深いところにある筋肉を徹底して緩めていくタイプの静的なヨガです。
陰と言うのは、東洋の陰陽五行思想の「陰」のこと。
陽の気が上昇するのに対して、陰の気は大地へと下降します。
陰陽二つの気の流れがダイナミックに入れ替わり、バランスをとっていくイメージですね。
陰ヨガでは、一つ一つのポーズをゆっくりと(1ポーズ3分以上)時間をかけて行います。深くゆったりとした呼吸を繰り返し、下半身を中心に深く徹底的に身体を弛めることを目指します。
たとえば、股関節には大きなリンパ節があり、太い動脈も通っています。
ここをほぐし、強ばりを取り、弛めて滞りをなくせば、血液やリンパ液の流れがスムーズになりますよね。
そうすることで、体液を下肢の末端まで行き渡らせることができます。
太ももなどの大きな筋肉も緩んでフレキシブルになり、可動域が広がり、活性化します。
そうやって、上半身に偏りがちのエネルギーを、下半身にまでしっかり巡らせて、全身の活力、エネルギーバランスを整えていくのです。
リラックスすると活性化する
面白いのは、身体と言うものは、弛むことで、逆に力強くどっしりするということ。
陰ヨガをした後に瞑想をすると、丹田にずんと力が入っていてとても座りやすいんです。
立ったときには、足裏にしっかりと体重が乗ってくる感覚があります。
大地に向かって深く根を下ろしていくようなイメージです。
下半身がしなやかに強くなると、上半身は逆にリラックスして、緊張が解けます。
大木がしっかりと大地に根を張るのと同じ自然の原理ですね。
頭にばかり気が行ってしまっている時、つまり、上半身が緊張状態にある時には、首や肩や腕に力が入り、当然肋骨(肋間筋)も固まって、呼吸も浅くなります。
力が入っているということは、筋肉が緊張しているわけなので、体液の通る管や神経細胞が圧迫されています。
当然、血液やリンパ液は滞り、神経伝達もスムーズではなくなってしまうのです。
そして、身体の強ばりは、そのまま、思考や心の強ばりを生みます。
肩が力んで、拳を握り締めているような状態は、怒りや悲しみ、あるいは拒絶の表れです。
そんな状態にある時に、他者への共感とか、弱者への慈悲とか優しさとかを、素直に感じられるでしょうか?
下半身のどっしりとした土台に支えられていてこそ、上半身は自由にしなやかに動くことが出来ます。
身体は心を映す鏡
これは、筋肉だけではなくて、脳の働きも同じです。
リラックスすると呼吸は深く穏やかになり、神経伝達もスムーズになります。脳内ホルモンのバランスも整っていきます。
思考はポジティブになり、寛容さや共感が深まり、未来や可能性を素直に信じることができます。
夢を想い、ワクワクが身体の中から自然と湧き上がってくるのです。
本当のリラックスとは、ダラダラ、ズルズルすることではありませんよね。
身体にも心にも力みがなく、フレキシブルで、エネルギーがスムーズに巡っている状態です。
(猫ちゃんたちは最も身近なお手本かも)
静かだけどパワフルで、生命力にあふれている、そんなリラックスを目指しましょう。
身体と心についてはこちらの記事も参考にしてください
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