思いやる心を育てる瞑想法
脳科学者によると――――――
脳の神経回路の障害に原因があって、暴力的な行動をしたり他者を思いやる心に欠ける傾向を持つ人、がいるそうです。
そうした遺伝的資質を持って生まれてきてしまったら、他者への共感の心を持つことは難しいのでしょうか?
その答えは “NO” です。
わたしたちの脳は、思っている以上に可能性に満ちているのです。
思いやりの心は育てることが出来る
ナショナルジオグラフィックのサイトに、人の善行や悪行と脳の関係についての記事が紹介されていました。
★NATIONAL GEOGRAPHIC の参考記事リンク
アメリカでの脳科学研究によると、自己中心的暴力や破壊行為をする人の脳では、共感性、つまり他者の気持ちを理解する能力が欠如している傾向があり、それは、脳の神経回路の障害に原因がある、とみられるのだそうです。
この「共感性の欠如」は、遺伝的な部分もあるらしいのですが、うれしいことに、たとえそういう傾向にあったとしても、大人になってからでも優しさや寛容さを育てることは可能なのだそうです。
そうなんです。わたしたちの脳にはそうした柔軟さがあります。
この記事で、思いやりの気持ちを育む方法の一つとして「慈悲の瞑想」が紹介されていました。
思いやりを育む四つの尊い心
「慈悲の瞑想」は、一連の言葉を唱えながら、「慈・悲・喜・捨」という大切な四つの心を感じていくという、仏教の伝統的な瞑想の方法です。
この4つの心の事を、仏教では「四無量心(しむりょうしん)」と言います。
無量とは、はかることができないほど大きい、深い、という意味。
生きとし生けるものすべてを対象とするから「無量」といいます。
また、この心を持つ者に限りない福徳・果報をもたらすことからも「無量」と言われます。
四つの心をひとつずつ説明すると・・・
慈:友愛の心、人の幸せを願う心
悲:人の悲しみを共に悲しみ、人の苦しみが和らぐように祈り願う心
喜:人の幸せや成功を喜ぶ心
捨:無条件に平等に幸せを思い、それさえも手放している状態
「慈・悲・喜」は字の通りですが、「捨」がちょっとわかりづらいかもしれませんね。
これは執着を捨てるということだと考えていいと思います。
いかに尊い心の願いであっても、「何が何でもそうするんだ!」と強く求めすぎると、それは執着となります。
執着と言うのは心の強いこだわりです。それではかえって、願いの実現を邪魔するものになってしまいます。
だからそれを捨てる、その想いを委ねる、ということを言っているのでしょう。
四つの大事な心を感じ尽くす
「慈悲の瞑想」では、瞑想の言葉を唱えながら、四無量心、慈・悲・喜・捨の大切な4つの心を感じることに集中して瞑想を行います。
まず「わたし(自分)」に対して、この四つの心を感じます。
次いで、「わたしの大切な人」、「生きとし生けるもの」へと広げていきます。
それから、「わたしの嫌いな人」、「わたしを嫌っている人」へも、想いを広げます。
言葉を口に出して、あるいは心の中で唱えながら、ひとつひとつ、しっかりとその心を感じます。
この瞑想で大切にするのは、慈悲喜捨の四つの心を感じることです。
自分への「慈」を感じ尽くし、「悲」を感じ尽くし・・・と丁寧に一つずつ進んでいきます。
ただ、おざなりに言葉を唱えても、この瞑想の効果はありませんので、そのことをしっかりと心に留めて瞑想を行ってください。
「慈悲の瞑想」の言葉
わたしが幸せでありますように
わたしの悩み苦しみがなくなりますように
わたしの願いごとが叶えられますように
わたしに悟りの光が現れますようにわたしが幸せでありますように
わたしが幸せでありますように
わたしが幸せでありますようにわたしの親しい人々が幸せでありますように
わたしの親しい人々の悩み苦しみがなくなりますように
わたしの親しい人々の願いごとが叶えられますように
わたしの親しい人々に悟りの光が現れますようにわたしの親しい人々が幸せでありますように
わたしの親しい人々が幸せでありますように
わたしの親しい人々が幸せでありますように生きとし生けるものが幸せでありますように
生きとし生けるものの悩み苦しみがなくなりますように
生きとし生けるものの願いごとが叶えられますように
生きとし生けるものに悟りの光が現れますようにわたしの嫌いな人々が幸せでありますように
わたしの嫌いな人々の悩み苦しみがなくなりますように
わたしの嫌いな人々の願いごとが叶えられますように
わたしの嫌いな人々に悟りの光が現れますようにわたしを嫌っている人々が幸せでありますように
わたしを嫌っている人々の悩み苦しみがなくなりますように
わたしを嫌っている人々の願いごとが叶えられますように
わたしを嫌っている人々に悟りの光が現れますように生きとし生けるものが幸せでありますように
生きとし生けるものが幸せでありますように
生きとし生けるものが幸せでありますように
リード音声です。ご一緒にどうぞ!
毎朝の習慣が心を変えていきます
わたしは瞑想実践者ですので、毎朝30分ほど瞑想をしています。その際のルーティンメニューの一つが、この慈悲の瞑想です。
普段、実はけっこうイラチで、短気なわたしですが、四無量心をしみじみと感じていると、心がとても静かに、穏やかになり、世の中に対しても優しい気持ちになります。
もし、世の中の多くの人が毎朝、慈悲の瞑想をして一日を始めるなら、世界はもっと優しさに満ちて、平和になるんじゃないかな、と、想いを巡らせます。
慈悲の瞑想は、誰にでもできる、わずか10分の世界平和活動、なのです。
★瞑想教室「空と風」
人生の可能性を開く瞑想の仕組みをお伝えしています。