自分をイジメていませんか?

こころとからだのトリセツ

自分をイジメる、と聞いて、あなたはどんなことを思い浮かべますか。

寝る間も与えずに働き続ける?
無理なダイエットを強いる?

イジメるというのは、愛することの対極ですから、肉体的に限度を超えた負荷を強いることは、自分をイジメていることになりますね。

では、心はどうでしょう?
あなたは、心の中で自分に厳しい言葉を投げつけてはいないでしょうか?

ネガティブな言葉が心のエネルギーを奪っている

子供の頃、何かをやろうとして、あるいは課題を与えられて、それがうまく出来なかった時に、親や先生、あるいはお友達からこんなことを言われた経験はあるでしょうか。

「まったくおまえはダメだなあ」
「しっかりしろ」
「マジメにやってるのか?」
「また出来なかったの?」
「ヘタクソだなあ」
「やる気あるのか」
「怠けてるんじゃないよ」

相手はもしかすると、それほど深い意味で言ったわけではないのかもしれません。
あるいは、あなたが悔しく思って奮起することを狙ったかもしれません。

でも、どのような意味であったとしても、こうした否定的な言葉は、あなたの心を傷つけ、自信を失わせたのではないでしょうか。

子供にネガティブな言葉を掛け続けることは精神的な虐待であると、今では認識されていますよね。
言葉はそのぐらい強く心に影響を及ぼします。

しょんぼり

あなたの心に誰よりも厳しい攻撃を仕掛けて来る人とは

大人になるにつれ、わたしたちは自分なりのやり方で、自分の心を守る方法を覚えていきます。
他者からのネガティブな言葉の攻撃をかわし、はね退け、防御することができるようになっていきます。人によって、上手下手はあるかもしれませんけれど。

でも、たとえあなたがどんなに防御がうまかったとしても、絶対に自分の心を守り切れない、そんな相手が一人だけいるんです。
攻撃をはね退けるどころか、ハート全開で直撃を喰らってしまうような、どうやっても太刀打ちできない相手。そんな相手が必ずいます。

それは、他ならぬ、あなた自身です。

何かをしくじってしまった時、あなたは自分を責めませんか?

何でそんなことしちゃったのよ!
どうしていつもそんなにドジなの!
また失敗しちゃったじゃないの!
ああ、もう、いつもこうなんだから!

たとえそれが些細な失敗だったとしても、あなたは誰よりも手厳しく自分自身を非難していないでしょうか?

セルフトークのワナ

思い通りにできなかったときに、自分自身にネガティブな言葉を投げてしまう。
これが「セルフトークのワナ」です。

あなたの発する言葉から、あなた自身を守ることは出来ません。

ネガティブな言葉は心のエネルギ―をたちまち奪い取ります。
それで悲観的な気分になって、さらに否定的な想いが浮かんで来て、ネガティブな言葉を自分に投げつける・・・
こんな負のスパイラルにドップリと落ち込みます。

あなたも経験ありませんか? この落し穴。

きっかけは最初の一言。自分を否定するたった一言なんです。
それが雪だるま式に増幅されていって、やがてあなたの心を圧倒してしまいます。

ヒトの脳は、失敗を強く記憶するように出来ています。
それは、自分の命、安全を守るための仕組みです。同じ危機に陥らないように、危険な出来事をしっかりと記憶にとどめているわけです。
これはもう、遺伝子レベルの仕組み、反応です。生存していくための本能です。
ですから、この仕組みを止めることも、消去することもできません。
もしそれが出来てしまったら、わたしたちは自ら命を危険にさらすことになってしまいますから。

でもだからといって、必要以上にその仕組みを働かせ、暴走させることはありませんよね。
動物とは違って考える力を持っているヒトとして、本能に振り回されずに、理性的にコントロールしていきたい、と思いませんか?

意識のフォーカスを変える

失敗に強く意識が向いてしまうのは、生存のための本能的な反応です。わたしたちはそうして失敗体験を記憶に刻み込み、それを避けることを行動の基本にしています。

つまり、わたしたちの脳の中って、放っておくと、失敗の記憶が山盛りなんです。上手くいったことよりも、うまくいかなかったことの方が思い出しやすい仕組みになっているんです。

まず、そのことを頭にしっかりと「記憶」させておいてください。

あなたが、何かにしくじって「ああ、わたしって、ちっともうまくいかないのよね・・・」と思ってしまう時、このことを思い出してください。
うまくいくこともちゃんとあったから、あなたは今こうして生き延びているんです。
ただ、脳の仕組みで、ネガティブなことの方を鮮明に思い出してしまっているだけなんです。

では、この脳のクセを変えていくには、どうすればいいのでしょう。

その答えは実はとてもシンプル。

意識して、ポジティブな経験にフォーカスすること!です。

受容

わたしたちはもっと自分をホメていい!

日本には謙遜という文化がありますね。自慢話は不作法、みっともないと言われます。
でも、自分で自分をホメたからって、誰に遠慮がいるでしょう。誰を不愉快にするでしょう。

そうなんです。わたしたちはもっと、自分自身を褒めてあげるべきなんです。
褒めて、褒めて、自信を持たせてあげるべきなんです。

他人につい自慢話をしてしまう人というのは、自信があるからではありません。自分を高く評価しているからでもありません。
その逆に、自分に自信がないから、自己評価が低いから、自分がいかにスゴイか、素晴らしいかを語って「人に褒めてほしい」「人に認めてほしい」のです。

だから、自分を褒めすぎても、高慢な人には決してなりません。
自分への評価が高くて自信のある人は、謙虚になれます。威張る必要がないのですから。

脳がその仕組み上、どうしてもネガティブなものに目を向けてしまうのなら、あなたは敢えて、意図的に、ポジティブな体験にフォーカスをして、その記憶を強めることをするべきなんです。

つまり―――とにかく、自分を褒める。ベタボメしてあげる。
良くやった、うまく出来た、すごいね、やったね、さすが、うれしい・・・
そう、たとえば小さな子供を褒めるときのように、どんなことでもいいから自分を褒めるんです。

そうやって、小さな成功体験、小さな喜び、小さな自信を、あなたの脳ミソに刻み込んでいきましょう。

犬と女の子

そうした小さな「うまくできた体験」を大切にしていくと、あなたの中で自分への信頼感が増し、自分への評価が高まり、自分は出来るんだという気持ち、エフィカシーが上がっていきます。
エフィカシー(自己効力感)が上がれば、以前には難しかったこともできるようになっていきます。新しい経験が出来ると、自信が持てるし、自分への信頼も増します。

こうして心のポジティブ・スパイラルを回せれば、人生はどんどん加速度的に発展していく、そう思いませんか。

あなたを褒めてくれるのはあなた自身です

日本では、文化的な習慣のせいなのか、とかく成功体験が過小評価される傾向があるようです。でも、自らにネガティブな言葉を投げつけて自分自身をイジメることは、自分を叱咤激励することではないし、自分を律することでもありませんよね。

子供の頃から褒められた経験が少ないという人こそ、ぜひこれをやってください。
人が褒めてくれるのを待っていないで、誰よりもまず自分が自分を褒めてあげましょう。
あなたは十分過ぎるぐらい頑張っているんです。頑張っているから、こうして今も生きているのですよね。

そんな自分自身を、しっかりと認め、褒めてあげる。
それが出来るのはあなた自身なのです。


瞑想で自分の心ともっと仲良くなりませんか?