恐怖の記憶は身体に刻み込まれている

こころとからだのトリセツ,脳のトリセツ,*瞑想教室「空と風」

昨日の真夜中、久々になり響いた緊急地震速報に、心臓が飛びあがりました。

早速フェイスブックに「びっくりした~~(>_<)」投稿したら、多くの友人から同様のコメントが来ました。
心臓止まるかと思った、と、書いていた人もいたぐらい、みんな慌てたみたいです。

注意を喚起するためのアラート音だから、ビックリさせられるのは仕方ないとしても、たとえばご高齢の方など、あれに驚いてベッドから落ちたりしないのかな・・・なんて余計な心配もしてしまいます。

3.11の記憶

幸い地震は大きくなく、津波の心配もありませんでした。よかったです。

でも、あの音は、やっぱり、とてもイヤ、ですね。
なぜかと言うと、3.11の地震を思い出してしまうから、なんだと思います。

あの日わたしは東京の自宅にいて(一人暮らしなので一人でした)ひたすら大きくなっていく揺れに為すすべもなく、倒れそうな棚を必死に押さえていました。

あんなに大きくて長い地震は、生まれて初めて。
「いったい何が起きてるの!?」と不安と恐怖でいっぱいでした。

それでもやがて揺れが収まって、棚の上の方のモノが落ちたぐらいで、特にトラブルもなくて済んだことにホッと胸を撫で下ろしたものの、身体は固まってるし、指は震えるし、心臓もバクバク・・・

当然ですよね。まるで嵐の船に乗っているかのような(乗ったことないですけど、たとえるならば)スゴイ揺れ方だったんですから。
しかも、この後わずか30分後に、もう一度同じぐらい大きな地震が起きた。
この時は「もう、やめて~!」と思わず叫びたくなるぐらい。
パニック寸前でした。

なにかとんでもなく大変なことが起きている!
これからどうなってしまうの!?

震源から離れた東京都内でさえ、こんな状態でした。
わたしの住まいでは棚が倒れることも、食器が飛び散ることもなく、断水も停電も起きずに済みました。

この後、本当にとんでもないことが次々に起きたのは誰もが知っている通りです。

東北での巨大津波、千葉沿岸部コンビナートでの大火災・・・テレビには次から次へと凄惨な状況が映し出され、それに見入っている間にも、絶え間なく余震が続いていました。
余震と言っても、普段なら「さっきの地震大きかったねえ」と言い合うようなレベルか、それ以上の揺れが、本当にひっきりなしに起きるんです。とくに最初の2~3日はひどかった。
都内でさえ、こうです。震源に近い地域の方たちの恐怖はどれ程だったかと思うと、胸がぎゅうっと痛くなります。

さて、なんで長々とこんなことを書いているのかと言うと、最初に書いた地震アラートが、こうした一連の記憶を一気に蘇らせるということなんです。

恐怖の記憶システム

思い出すというのは、言葉でこうして語ることのできる記憶ばかりではありません。
もっと深く、いわゆる潜在意識・無意識レベルに刻みつけられている記憶のことも含まれます。

頭で考えたり思い出したりするよりも先に、身体が反応するんです。
心(感情)の記憶は、からだと強く結びついています。
つまり、あの時の恐怖の記憶がよみがえり、身体の反応として瞬時に現れるということなんです。

恐怖の記憶は特に強固です。

命の危険に関わることなので、脳としては当然の反応なんですよね。
そうやって、脳に危機的体験を刻み込み、記憶させて危険を回避することで、ヒトという種族はこうして生き延びて来たのですから。

だから、脳のそうした働きを止めることは出来ないし、止めようとするのは命にとって「危険」なことです。
でも、恐怖感に支配されてしまうと、冷静な理性的な判断が出来ず、危機に対して適切な行動をとることを邪魔することも起きてきます。

では、どうしたらいいのか?

脳の反応に気づくことで恐怖は鎮まる

恐怖の記憶への対処法として、まず言えるのは、脳はそういう反応をするものだということを知っておくこと、です。
そうだと知っていれば、自分はいま過去の記憶から必要以上に感情的に反応しているんだな、ということに「気づく」ことが出来ます。
「気づく」ことが出来れば、脳は本能的な感情支配モードから、理性的に考えて判断するモードへとスイッチが切り替わります。

この脳のスイッチの切り替えは、普段から練習しておくと、上手に、すばやく出来るようになります。
そのやり方を知って、脳のコントロール力を鍛える簡単な方法があります。
誰にでも出来る、伝統的な脳の鍛錬法、それが「瞑想」

この地上に暮らしている限り、昨夜のようなことは、いつでもまた起きます。起きることは止められません。
でも、たとえ何が起きるとしても、自分を見失わず、パニックに陥らず、混乱してもすぐに理性に立ち返ることが出来るんだと知っているならば、ちょっとは安心できるかな、と思いませんか。

そんな認識をさせてくれた昨夜の地震アラート騒ぎでした。